むち打ち症とは文字通り首が鞭のようにしなり、不本意に急激に思わぬ方向に動かされたために起きる症状です。
交通事故のみならず、格闘技系のスポーツや自転車や歩行中の転倒でも起こる可能性があります。
受傷した直後から症状が出る場合もありますが、数日後しばらくしてから痛みやしびれ、不快感などが生じることも少なくありません。
むち打ち症は、頚椎を連結する靭帯や椎間板、筋肉に急激な負荷がかかり損傷したものです。
特に骨折や頭部の外傷がなければ、レントゲンで証明される病変は確認できないことがほとんどです。よって、確認のために必要ではありますが、レントゲン検査だけではむち打ちの症状を判断することは困難と考えます。
傷める可能性のあるものは、頚椎と頚椎をつないでいる、靭帯、椎間板、筋肉です。
これらは首を動かす際に痛みを発します。つまり、どの組織をどのように痛めたかは患者さんの首の動きを色々な方向でチェックしてみなければわからないという事です。
頚部に特有の検査法を実施し動きの中から痛みの根本的な原因を確認していきます。
そして、事故の状況と程度によって、治療法を選択します。
頭の重さは、体重のおよそ1割ほどと言われています。
ボーリングのボール程度かと思います。
これが頚椎(けいつい)の上に載っていて、後ろから衝突されると車体の衝撃と共にシートの部分が前方に押されます。
この時くびは瞬間的に一度後ろに反り返り、その後、運転手がブレーキをかけているか、または前の車に衝突すると、頭とくびは逆に前かがみの方向に勢いよく振られます。
そして、元の位置に戻ります。予め衝突することが予測され身構えていたとしてもかなりの衝撃になります。
また、運転手は赤信号などで停車していれば、助手席の子供の顔を見ているかもしれませんし、カーナビを操作しているかもしれません。
また、斜め後方や側方から相手方自動車が追突してくる可能性もあります。
そのような状態で交通事故に遭うと、首の右であったり左であったりなど偏った痛みが出ることは珍しい事ではありません。
この際に損傷する部位は、くびの動きを安定させる靭帯(じんたい)や上下の椎間関節を覆う関節包(かんせつほう)、椎間板(ついかんばん)や関節面にある軟骨と周辺の筋肉が損傷を受けます。
これは、足をくじいた場合の関節捻挫(かんせつねんざ)と同様です。足の関節などであればけがをした後にはっきりと腫れ、内出血、熱感が出現しますが、むち打ち症の場合には表面で確認し悔いも腫脹(しゅちょう)、熱感(ねっかん)など炎症症状が出現します。
この時は痛みの為に首を動かすこともつらくなります。
治療はアイシングと患部の安静姿位の保持となります。
当院ではレボックス(微弱電流治療器)とアイシングシステムを用いて患部の炎症を抑えるとともに組織の回復を図ります。
固定方法は、テーピングを主に使用します。
首の周りの筋肉の痛みを和らげるためには伸縮するテーピング゙も併用します。
また、デスクワークなど日常的に首をよく使う方には頚椎カラーを施します。
首を前に傾けていると、頭が前に倒れないようにするために首の後ろの筋肉が常に緊張します。
この頚椎カラーは首を固定するというよりも、あごを載せて首の後ろの筋肉の緊張を和らげます。
結果的に、急性症状が落ち着いた後の首のおもだるさを予防することが出来ます。
後頸部の痛みには鋭い痛みと重だるい痛みの2種類があります。
<鋭い痛みについて>
むち打ち症は、予測しない首への急激な動きを強いられることにより発症します。日
常的に動かす以上に衝撃を受けることにより、頚椎は関節面で強く圧迫を受けたり、その圧迫を吸収することが出来すに、関節がスレてしまう事があります。
関節の動きは、筋肉の働きが関係します。
むち打ち症になることで、筋肉が異常に緊張してしまったり、逆に緩みすぎてしまったりすると正しい関節の動きをすることが出来ません。
関節の位置の異常を正すには、筋肉の緊張を和らげ、弛緩している筋肉は活性化させます。
それから、やさしい刺激によって関節が正しく動くように補助します。
浦和 ニュートン整骨院では、プロテックという治療器を使い、首にかかる頭の重さを取り除いた状態で、頚部周囲の筋肉(特に重要な筋肉は斜角筋と胸鎖乳突筋)の緊張を和らげ、患者さんご自身の力を利用して、頚椎の動きを整えていきます。
左右の回旋については下部頚椎(頚椎は全部で7個)と上部胸椎(胸椎は全部で12個)を調整します。
また、前に曲げたり後ろにそらしたりする動きについては、第3、第4、第5頚椎を中心に調整します。
この調整は、専用の治療器を使って行いますので、患者さんは痛みを感じることなく可動域を改善することが出来ます。
<重だるい痛み>
むち打ち症の多くの症状が頚部周囲と肩へのおもだるさです。
ボーリングのボールほどの頭を支えるために、くびの周りの筋肉は前、横、後ともに最大限に力を尽くしました。
その結果、普段使わないほどの筋力を使った結果それぞれが異常に緊張します。
首が後ろに反った時には首の前の筋肉が頭が後ろに行き過ぎないように緊張しますし、前に曲がった時には首の後ろの筋肉が緊張します。
横にある筋肉は、いずれの場合でも補助的に協力します。
前は大したことなくとも後ろに強くそる場合もあれば、その逆もあります。
よって、前、横、後ろ、そして左右の筋肉の緊張は同じようには緊張しません。
この結果が、ひいては筋肉の緊張のアンバランスを引き起こし、慢性化につながります。
この慢性化した筋肉の緊張はさらに頚椎の可動域を制限し、また毛細血管を圧迫することによりさらに筋肉の緊張をおこすという悪循環になってしまいます。
当院では、超音波治療器や近赤外線レーザーを使って緊張している筋肉を個別に温め血流を促進し、筋肉の硬結(こうけつ)を和らげます。
その後、特殊な機材を使って、瞬間的に確実に椎骨の一つ一つを正しい方向に矯正していきます。
この治療は炎症症状が落ち着いてから行いますので全く痛くありません。
斜角筋は、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3つで構成されています。
特に重要なのは、前斜角筋、中斜角筋でこの隙間より、腕神経叢(わんしんけいそう)と言う腕に向かう神経の束が通過します。
また、動脈も同じ場所を通過します。この筋肉は頚椎と肋骨を結んでいます。
主な働きとしては呼吸の補助ですが、交通事故の時などは、頚椎を支えようと一時的に収縮します。
本来の斜角筋の働き以外での急激な収縮のため、一時的な緊張の後に元通りの伸縮性のある筋肉へと回復できず結果的に神経や血管を圧迫してしまいます。
いわゆる揉んでもらっても、またすぐに肩がこってしまうという方の多くは、なで肩や猫背、姿勢不良が誘因となりこの斜角筋が緊張していることが少なくありません。
斜角筋は深部にあり、神経や血管を覆っていること、周辺に総頚動脈が走行していることもあり、治療には細心の注意を要します。
私たちは、中周波と呼ばれる治療器を使い、筋肉自体を中周波の効果で収縮と弛緩を促し、筋肉を緩めていきます。
中周波の効果に加えて、プロテックを応用したり、手技により、筋肉にストレッチを加え、神経や血管の通るスペースを確保するようにします。そしてその効果を持続するために、姿勢矯正も併用いたします。
首は上部頚椎(後頭骨、第1頚椎、第2頚椎)と下部頚椎(第3~7頚椎)に分かれます。
上部頚椎を後頭下関節とも言います。
後頭部への神経や延髄と言われる脳の一部など重要な部分です。
後頭下関節には左右で4対の筋肉(大後頭直筋だいこうとうちょっきん、小後頭直筋しょうこうとうちょっきん、上頭斜筋じょうとうしゃきん、下頭斜筋かとうしゃきん)が微妙に頭を支えバランスしています。
むち打ちの結果この部分の筋肉のバランスを崩すと様々な症状が出現することがあります。
椎骨を一つ一つ丁寧に、屈曲、伸展、回旋、側屈の方向に動かし、筋肉のバランスと頚椎の位置関係を矯正します。
また呼吸に合わせてトリガーポイントを刺激し、後頭部特有の筋肉を弛緩させます。
また、第7頚椎の前面にある星状神経節と呼ばれる交感神経のツボみたいな部分を近赤外線レーザーで治療します。
頭部・肩・腕・胸部等の局所の痛みを改善するだけでなく、体全体の自然治癒力を高める効果のある治療法です。